メシアン:鳥たちの深淵

 時の終わりのための四重奏曲の第3曲です。作品名は「世の終わりのための」と訳されることが多かったですが、世紀末の災難や世界大戦の嘆きというより、ヨハネの黙示録に基づいています。教会オルガニストであるメシアンの神秘的な作品です。


 編成はヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノですが、楽章によって編成、組み合わせが変わります。鳥たちの深淵はクラリネット独奏です。この編成になったのは、世界大戦中ドイツ軍捕虜となってしまったメシアンが収容所で出会った音楽家が持っていた楽器によるためです。


 「ヨハネの黙示録」第10章6、7節の内容は「もはや時がない。第七の天使がラッパを吹くとき、 神の秘められた計画が成就する」というもの。トランペットこそ含まれませんが、熱烈なピアノの和音が印象的です。第8楽章で永遠の安息日を表しているとの事。深い信仰がないとなかなか感じ取れない部分かもしれません。


 メシアンは鳥学者でもあります。この作品のクラリネットはナイチンゲール。鳥たちの深淵でも高らかに歌います。


 こちらはパリで演奏させていただいた時の演奏。会場は国際大学都市内の日本館でステージ後方の壁画はレオナール藤田によるものです。第3楽章は6分15秒くらいから。


もうひとつ師匠の録音を。

Madoka TSURUYAMA clarinettist

クラリネット奏者 鶴山まどか

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